桐生の魅力を発掘、発信していきます
ー高崎経済大学 石井ゼミナールー
4年ぶり開催の重責担う2丁目天王番
〔祇園祭参加レポート2023〕
2丁目天王番

2丁目の誇り、屋台の美
本町1丁目から6丁目までの6町会は祇園祭用の屋台を保有しているが、4丁目を除き普段は神輿蔵に解体保存されている。2023年は天王番である2丁目が、7月の毎週末に世話方が集まり組立作業を行い、祭り期間中に屋台を展示した。2丁目の方々が口々に「町の誇りです」と仰っていた屋台が姿を現すと、まずその大きさに圧倒され、数々の彫刻の見事さに目を奪われる。さらに舞台に上らせて頂くと、舞台上からしか見ることが出来ない部分にも細かな彫刻が施されており、当時の「町衆」がいかに屋台制作に力を入れていたかを感じさせられる。さらに舞台後方の襖は表裏で絵柄も異なり、100年以上経った今も全く色あせない美しさを保っている。現在では各町の屋台は数年に1度しか目にすることが出来ないものとなっており、祇園祭における必見の祭礼芸術の一つである。
祭りスタートの合図!2丁目大幟
各町は屋台以外にも祭りに関連する有形、無形の文化遺産を数多く保持している。2丁目の祭りでひときわ目を引くのが、巨大な大幟であろう。2丁目の大幟は頼支峰の書で1874年の制作とされ、近年は本体の保存のためレプリカが使用されている。8月4日の朝、世話方、町会役員の方々が集まり、事前に建てておいた2本の柱に幟をゆっくりとかかげていく。近郷近在に祭りの開催を伝えていたという大幟は高さおよそ20メートル。高い建物が増えた現在でもその威容は際立っており、かつてと同じように近隣に祭りの始まりを告げる合図になっている。


各町に流儀がある!迫力の神輿担ぎ
外部から見学していると気づきにくいが、神輿は時間を置いて各町を2回通っていく。1回目は「瓔珞(ようらく=ご神体を守る簾状の装飾具)付き巡行」で、通常の神輿担ぎで想像されるような「もみ」はなく静かに町会間の受け渡しが進んでいく。2回目が「瓔珞なしもみ」で、各町の豪快な神輿のもみを見ることができる。各町でもみの方法は異なり、神輿を肩から外して手の力のみで上下させる町会もあれば、2丁目のように肩から神輿を離さずにスクワット状態でもみを行う町会もあり、各町には「担ぎ方の美学」とでも呼ぶべきそれぞれの作法がある。行司による気合の入った掛け声で始まる神輿の「もみ」は、各町の若衆の最大の見せ場の一つ。ぜひ各町それぞれの熱気あふれる神輿担ぎをご覧いただきたい。
【取材・文 石井 23/10 】