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行司会?祭りの方向性はここで決まる!〔祇園祭2023 参加レポート〕

行司会

​行司会

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行司会とは?

行司会とは各町会の行司(祭りの実働部隊のリーダー)と脇行司(行司の補佐役)が集まり、祇園祭のスケジュールや神事、行事、神輿渡御についての確認や申し合わせをする会議で、例年4月から7月にかけて開催されている。祇園祭をまとまって盛り上げるために設立され、2005年頃に立ち上がったといわれており、2016年までは行司のみが参加する会議だったが、2017年の改革により脇行司も参加することとなった。この改革には、各町の脇行司が行司会への認識を深め、そこで得た経験を将来の祇園祭へ引き継いでほしいという願いが込められている。

緊張感高まる行司会を体験!

行司会参加者は本町1~6丁目、横山町の方々で、2023年は天王番となる2丁目の方々を中心に行われた。初めの自己紹介の時からも緊張感が伝わってくる。各町会が天王番に対するお祝いの言葉を述べている場面は特に印象深く、行司会が祇園祭を行う上で大切な場であることが実感できる。本番で決められた時間通りに神輿担ぎが進行するように細かな道順を声に出して確認していくなど、準備に余念がない。行司会は各町が歩調を合わせ、祭りを順調に進めていくために欠かせない集まりなのである。

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変化していく祇園祭

2023年天王町の2丁目の行司玉川さんは、「祇園祭の良いところは残す、変えていかなければいけないところは変えないと伝統は続いていかない」、とおっしゃっていた。今とは異なり、昔は行司会に参加する人々はほとんど商人しかいなかったそうだ。しかし時代が変わる中で商人層の人は減り、現在では2丁目の世話方の全員がサラリーマンになっているという。このような変化に合わせ、祭りを行う上での形態も変化させてきた。これから400年、500年・・・と祇園祭を継承していくためには、伝統を守りながら、時代に合わせて進化させていかなければならない。

コロナ禍を乗り越えて

1丁目のHさんは、お祭りが中止されたのは「とにかく悔しかった。渡御だけでもやりたいという気持ちで町会長や行司たちと何度も話し合いを重ねたが、実現できなかった。今年〔2023年〕は神輿渡御が盛大に取り行われたらいいなと思います」、とおっしゃっていた。3丁目のOさんは、「もちろん悔しかったですよ。コロナで全て停止となってしまった。でもマイナス面ばかりではなく、初めての経験だからこそ良い経験になったともいえます」とのことだ。皆さんが悔しい気持ちを抱えながらも、祇園祭について前向きな考えを持っていることが分かる。行司会に参加されている皆様にコロナ禍でお祭りが出来なかった頃の気持ちをお聞きしたところ、共通して「寂しい」、「むなしい」、「脱力感があった」といった事をおっしゃっていた。祇園祭は地区の方々にとって一大イベントであり、かけがえのないものなのだ。

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祇園祭への意気込みに迫る!

6丁目のHさんは、「伝統ってしばりがあって面倒なようにも見えると思うんですが、それが無いと実は面白くないんですよ。町の個性を大切に、その心地よいしばりの中で楽しむというか。それに、他町のことはもちろん意識しているんですけど、それも良い意味で仲良く喧嘩するっていう感じですね(笑)」、とおっしゃっていた。横山町のUさんによると、「3年間祭りがないと、記録や記憶が薄れてしまう。この祇園祭がずっと続くように、子どもたちに伝えていけるような場にしていきたいんです」とのこと。各町会が「祇園祭を楽しむ」という同じ目標に向かって、熱を持って盛り上げていくという姿勢が感じられた。子どもたちに祇園祭の記憶を伝えていくことも、お祭りを開催する重要な意義といえるだろう。

祇園祭の魅力はズバリ!!!

5丁目のOさんは、「360年以上続いていること、特に神輿渡御ではこの祭りのすごさが伝わるはずですよ」とおっしゃっていた。また4丁目のKさんは、「祇園祭は1964年から七夕まつり・祇園祭・八木節祭りが1つになった合同祭りであるため、それぞれの楽しみ方ができる、それも魅力ですね」とおっしゃっていた。3つの祭りを1度に体験することができ、神輿渡御に関しても各町ごとに神輿の担ぎ方に違いがあるため、それぞれの神輿の担ぎ方に目を向けるのも面白い。祭りの中に多様性があり、飽きが来ないのも祇園祭の魅力なのである。

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【取材・文 大澤・櫻井 23/8 】

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